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【第1回】 根拠、思考、そして判断基準

 
黒薔薇王国。
それは私の率いる、道徳的精神を主軸にエンターテイメント性をも包括した、我が国家の威信を賭けたバンドである。
そんな我々の合言葉は”挙手”であり、唯一無二である独特の価値観を世に提供している。
そしてこの度、晴れてBlack-listedより1stフルアルバム『Black Roses』が発売となったので、興味のある”王国民諸君”は是非ともチェックして頂きたい。
 
さて、今回よりRYUMEI氏の好意により、このWEBマガジンのコラムを連載させて頂く事になった。
ここに感謝の念を表する。
先ずは、私黒薔薇王国Rhyn皇太子の自己紹介及び、理念とでも言うべき内容を少し説明させて頂こう。
 
私はメタルバンドのボーカルであり、且つバンドのメインソングライターでもある。
かつてバンド活動を始めた理由は、自分の曲を世に出したいからだ。
ボーカリストでありながらメインソングライターでもあるのは、そもそもの活動の根底が作曲だからだ。
そして私は、自身のバンド哲学として、音楽的要素やスキルを追求するのは前提条件にあるが、バンドはあくまでエンターテイメントであり、決して崇高なものなどではないと思っている。
ユーザーに娯楽、特にライヴでの楽しさを提供してこそ、そこに価値を感じる、それがバンドマンとしての私である。
我々のライヴを見た事がある”王国民諸君”ならば、この発言の意味も納得してくれるのではないだろうかと思う。
 
 
そんな私の別の一面はというと、実はこのメタル界隈切っての読書家であると自負している。
読書は最大の自己投資の一つだ。
ノンフィクション、ジャーナリズム、実用書、ビジネス書、哲学書、科学や研究論文などまだまだ多岐に渡るが、私はこういった本を好む。
それは知的好奇心を満たしてくれる最高の友であり、自身の血肉ともなる。
 
本を出版するという事は、よくよく考えてみればとてつもない行為である。
主にその分野の第一人者が著者であり、その長年の経験、研究、想念などを蓄積し、それらを体系的にまとめたもの、それが本である。
読者の理解度にもよるが、その貴重な情報を僅かな時間で得る事ができるのだ。
これが最大の自己投資たる理由である。
 
私は物事の本質に迫る行為が好きだ。
その背景には何があるのかを高い抽象度で考察していくのだが、そういった能力を高めてくれるのも、また読書である。
 
深いテーマではあるが、本質に迫るとは何か。
例えば、宇宙人の話をしよう。
宇宙人はいるのか、いないのか。
一見馬鹿馬鹿しくも思えるテーマだ。
科学的、現実的に考えて、そのような生命体は存在しないと言い切る者も多いだろう。
それどころか、論ずる気すらないのではないか。
また逆に、宇宙人は絶対に存在すると言う者もいるだろう。
その理由は、この広い宇宙には地球上の生物以外の生命体がいてもおかしくはないだとか、テレビや雑誌で見たからいるだろうとか、そのような理由が大半だろう。
 
果たして、どの意見が正しいのだろうか。
私の答えは、”分からない”である。
正確に言えば、”分からないがいて欲しい、その方が面白いから”である。
我ながら、まるで”涼宮ハルヒ”の作中での台詞ではないかと思える回答だ。
勿論、テレビや雑誌の中では宇宙人を見た事はある。
しかし、その情報が捏造である可能性もあるし、逆に宇宙人が存在しない事も証明できない。
よって、宇宙人はいない、いてほしいというのは、本人の希望的観測にしかすぎず、論理的ではない。
知識量が足りない事は先に詫びさせてもらうが、私なりに宇宙人という概念について抽象的思考で一つ上の次元から俯瞰して考察してみたものの、結論は出せなかった。
脳内で思考、考察、議論をして、はじめて本質に迫る事ができる。
今回のケースの場合は、私の中で材料が足りなかった為、残念ながら答えは導き出せなかったのだ。
 
論理的思考の代表的なものの一つとして、ディベートがある。
ディベートとは本来討論の一種だが、それについて解説をすると、それだけでコラム数回分の長文となってしまうので詳細は割愛させて頂く。
その内容を端的に表すなら、根拠(データ)、主張(クレーム)、論拠(ワラント)を中心とした議論の為の思考法、技法だ。
読者諸君には、この中で特に注目して頂きたいのが根拠だ。
論理的な根拠がないのに、宇宙人がいるだのいないだの決めつけて言い合うのは、小学生時代に交わした友人との会話のレベルから何も進歩していない。
もし宇宙人がいると強く主張するならば、宇宙人がいると思える痕跡、評価の高い学術論文や仮説などの引用が本来は必要であるはずだ。
なぜなら、それが根拠となるからだ。
更に、より精度を高めるのであれば、観測結果や各種統計などの根拠、証拠を引用すべきだ。
そのように展開していけば、より説得力が増していくのである。
 
人間は他の生物と比較して、大脳新皮質が発達している。
大脳新皮質とは、合理的に物ごとを考える為の脳の器官だ。
せっかくそのような能力を授かっているのに、活用しなければ勿体無いではないか。
 
近頃は、技術の進歩によりAI(人工知能)の発展が目覚ましい。
AIによる計算は迅速で、保存されているデータ量も膨大、その辺りは我々人間を遥かに超えてしまっている。
ルール上、パターンだけでほぼ勝敗が完結してしまうリバーシ(オセロ)などは、事実として対局した名人に連戦連勝しているし、囲碁や将棋、チェスなどの世界でも、AIは既に頂点の域へと達している。
もはやAIは最強のツールの一つといえるだろう。
 
そんな無欠とも思われるAIだが、現段階ではそのAIがどうやっても我々人間に勝てない分野があるのをご存知だろうか?
それは、抽象的思考である。
 
抽象的思考とは何か?
一般的なイメージでは、抽象画から連想されるように、残念ながらよく分からないもの、曖昧なぼかしたようなものだと思う方も多いだろう。
ましてや具体的思考が良く、抽象的思考が悪い、そのような風潮すらあるようにも感じる。
しかし、当人にとって抽象画がよく理解できないからといって、もしそれがレベルの低いものだと決めつけるのはどう考えてもおかしいように、事実はそうではない。
極論を言えば、具体的思考は誰にでもできるだろう。
精度を度外視すれば、一つの物事について具体的に考える事は幼児にも可能だ。
だが抽象的思考とは、物ごとを一つ上の次元から俯瞰し、自分の知り得る概念から共通項を抽出して捉える考え方である。
 
まず、ごく一般に溢れているであろう抽象的思考のイメージについて取り上げてみよう。
 
・具体的思考は論点がはっきりしていて正しい、抽象的思考は曖昧なので良くない
・明確に目標を決める事こそが大切だし、具体的に物事を決められない事は良くない
・遠すぎる目標は現実的でない、適度な距離に具体的目標を置くことが大切だ
・答えがはっきりしない=抽象的
 
このようなイメージ、若しくはこれらに近しいイメージであろうか。
 
ここで具体と抽象について、一つ例を取ろう。
まずあなたは、黒薔薇王立学院高等部の3-Aの生徒だとする。
その同じクラスに在籍する山田氏に視点を当ててみよう。
これは完全に個人の事を指しているので、むしろ具体的といえる。
では一つ抽象化してみるとどうなるか。
クラスメイトとなる。
もう一つ抽象化してみると、三年生の生徒となる。
更に抽象化していくと、黒薔薇王立学院高等部の生徒→高校生→学生→少年→未成年→国民→人間→哺乳類→生物…
このように考えるのが抽象化である。
 
対象が一つしかないので、これのどこが大切な事なのかはまだ要点を掴めないであろう。
抽象的思考の大切な部分とは、違う対象を一つ上の次元で捉え、違う対象同士の互いの共通点を見つける事である。
 
ここで、再び山田氏に登場して頂く事とする。
山田氏は成績優秀な生徒だ。
クラスでの成績順位は常に一番である。
きっと彼はよく勉強をしていて、頭の回転も早いのだろうと想像がつく。
具体的思考の範囲で分かるのは、せいぜいこのくらいだろう。
 
では抽象化して物事を捉えるとどうなるか?
更に別の要素を導入して考えてみるとよく分かる。
同じ黒薔薇王立学院高等部の一年生に、山田氏弟がいる。
山田氏弟も、山田氏と同じようにクラスでは最優秀である。
 
この場合の二人の共通点とは何か?
兄弟、そして成績が良いという二点だ。
では、何故兄弟二人共が頭が良いのか?
例えば、家庭の方針が教育熱心だとか、生まれつきIQの高い遺伝子を親から受け継いでいるとか、具体的思考だけでは分からない、より確率の高い仮説が幾つか立てられる。
兄弟という情報を抜き抽象的思考をしなくとも、親が教育熱心かもしれないという仮説だけは立てられるが、それだけでは可能性は俄然として低くなる。
そこには、より精度の高い根拠がないからだ。
 
実は、抽象的思考とはたったこれだけの事なのである。
この考え方こそが物事の本質に迫る思考であり、抽象的思考の正しい使い方だ。
具体的思考だけでは、この考えには辿りつけない。
物事の本質に迫る事こそが、我々が生きていく上で大切な考え方なのである。
 
先程、IQという単語が出てきた。
これについては、皆もよく知っているものだと思う。
では何となくでいいのだが、学生時代に受けたIQテストを覚えているだろうか?
その中に、図形から答えを判断するものがある。
実はこの図形から答えを見つけるという行為は、歴とした抽象的思考なのである。
そう、一つ上の視点から互いの図形から読み取れる情報や共通項を探し、何が正解なのか判断したはずだ。
IQとは、知能指数である。
IQにどれほどの正確性があるのかなどの議論は本題から外れてしまうので省かせて頂くが、要するに抽象的思考がどれだけできるのかで頭の良さが計れると、公の機関が認めているのである。
抽象的思考がどれほど我々人類にとって大切か、ご理解頂けただろうか。
そしてあまり知られていないようなのだが、IQは年齢が幾つになろうとも上げる事ができる。
沢山読書をし、論理的思考力、特に抽象的思考力を養っていけば、IQというものは上げられるのだ。
事実、政治家には老人が多いが、彼らは実務も含め毎日勉強をし、思考回路を鍛え活性化させているので、衰えるどころかむしろ年を重ねていても鋭い。
絶えず脳を活性化させているという職業柄もあって、政治家から認知症になる者はほぼいないであろう。
余談になるが、IQ以外に心の知能指数と呼ばれるEQなるものも存在し、気になる者はそちらも調べ、そして共に高めていくと良いだろう。
 
 
私達の平穏とも思える生活の中には、実は平然と嘘の情報が蔓延している。
この世界が一部の支配層にとって都合が良くなるよう、巧みにシステム化さているからだ。
巧妙に仕組まれた嘘や偽情報、洗脳などから身を守る必要があるのだと、私は皆に自覚してほしいのだ。
”奴ら”は非常に手の込んだやり口で、我々の気づかないうちに”罠”を仕掛けてきている。
決して陰謀論などではなく、私が言っているのは実際の話だ。
最近では、電通社員がTwitterで社内事情をうっかり暴露してしまったところは記憶に新しいだろう。
 
私が今後このコラムで伝えていきたいのは、道徳的、人道的、啓蒙的な内容であり、そして正しい判断で物ごとの本質を掴み、偽の情報に惑わされず”王国民全員”で清く生きていこうという事だ。
前述したように、私は深く考察した上で根拠があると思えるものしか信じない質だ。
端から見たら突飛な理論のように思う発言も、公にする以上、私なりには確証しているのである。
今回は私の”思考法”という概念を理解してもらうと共に、次回以降のコラムの読み解き方とさせて頂く。
啓蒙的且つ真実に迫るその内容に、どうかご期待頂きたい。
それではまた。

■プロフィール
 
【Rhyn(リン)皇太子】
唯一無二のヴィジュアル・シンフォニック挙手メタルバンド、黒薔薇王国のボーカリストであり、メインソングライター。こう見えてバンドのリーダーでもある。ライヴでは謎の武器である”挙手”を筆頭に、奇抜なパフォーマンスと長い道徳の授業(黒薔薇王国のMC)を特徴とするスタイルを確立し、好評を博している。またメタル界を代表するほどの読書家でもある。2017年、Black-listedより1stアルバム「ブラック・ローゼス」をリリース。