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|| COLUMN ||

【第8回】アイドルグループに見る、ヒット曲を考える。

数年前に、AKB48の「ヘビーローテーション」って歌が流行った。
そのPVは下着の女の子たちがゴロゴロ寝そべってるPVで、お色気たっぷりでオジサンはPVを楽しんだと思うが、果たしてその曲は「良い曲」だったのだろうか?
そして遡ること30年。
同じ秋元氏の仕掛けで、おニャン子クラブってのがあった。
そこのヒット曲で「セーラー服を脱がさないで」と言う曲が売れた。
フジテレビで毎度放映されてた曲で、当時耳にタコが出来るほど聞かされた。
それも当然ヒット曲に成ったのだが、果たしてその曲は「良い曲」だったのだろうか?
 
ここでのテーマは「売れた曲=良い曲」なのかどうかってこと。
もう一つのテーマは、この売れた両曲を比較して何が共通しているのか?
その共通している部分が売れる秘訣ではないのか?と言う考察をしてみたい。
 
先ず共通項を探そうと思う。
AKBはテンポ180bpm キーはEメジャー。
おニャン子は、テンポ126bpm でキーはBメジャー。
ぶっちゃけ、キーもテンポも違うのだが、ここで言えるのは両極ともメジャーキーだってこと。
「日本人は演歌好きでマイナーキーの方が売れる!」と思っていたオレはちょっとしたカルチャーショックだ。
もう一つの共通項は、歌メロ。
同じ音符の羅列が多く、シンコペーションとか連符とか、それらの複合とかは殆ど出てこない。
 
ちょっと実験してみる。
両方の歌詞を全部ラララに置き換えて、文字化してみた時に、何方が何方の曲なのかがどの程度で判るか?
最初の1小節を抜き出してみる。
 
先ずこれだ。
ラーラーラーーー
そしてこれ。
ラーラーラーラララー
 
最初が「ヘビロテ」で、次が「セーラー服」なのだが、最初の3つは同じになった。w
何方もテンポやキーこそ違えど同じ音符が3つ並んでいる事がコレでわかると思う。
つまり、最初のリズムは両者同じなのだ。
音楽においてリズムはとても重要で、リズムでその音楽ジャンルが変わる程なのだが、この両曲は同じリズムを採用している。
で、この同じ音符の羅列は歌う人に特別なテクニックを要求しない。
言うなればお経のようにブツブツ歌えるわけだ。
リズムも一定で、難しいシンコペなんか出てこないから、多少リズム感が悪くてもバレづらい。
これは同時に一般の人でも「覚えやすい」というところにつながってくると思う。
 
で、歌なので歌詞がある。
両者とも、短い完結した単語を用いる事で、ワンフレーズとして完結でき、その曲を強く印象づけることに成功している。
 
「アイウォンチュー♪アイニージュー♪」とAKB。
「セーエーラー服を♪脱がーさーないで♪」とおニャン子。
 
何方も、ワンフレーズで完結してて覚えやすい。
他の歌詞なんか覚えて無くても、コレが出てくれば両者を認識できるから、容易に脳裏に刻まれるわけだ。
 
そして両曲とも、若い女性の心理を歌っている。
言葉遣いは時代のせいか「セーラー服」の方が直接表現が多く、隠語の意味がわかれば、昼間お茶の間に流すにはかなり過激な内容である。
対して「ヘビロテ」は全体に当たり障りのない、ふんわりした表現に成っており、簡単な英詩も織り交ぜてお洒落に仕上がっている。
この辺は、両グループのコンセプトにも関連してくるので一概に言えないが、若い女性の心理を歌っていることには違いない。
この歌詞を採用することで、若い女性の共感を得やすくしてあるんだと思う。
そうでなければ、両グループ共に志願する女の子が殺到するわけがない。
 
そして曲からは少し離れるが、演者のビジュアル。
おニャン子も、あの時代としては相当なミニスカートで皆さん可愛いお色気を振りまいていました。
AKBはもっと過激で、全員下着姿で、手足はもちろんお尻も胸の谷間も顕な状態でPVに出演してます。
コレも、現代のレベルに合わせたちょっと刺激的なお色気映像に成っており、昼間お茶の間に流すにはコレもちょっと悩ましいPVです。
そうすることで、男性ファンの暗部の欲求を満足させるという効果が出てくる。
 
これらの共通項が多分、売れる曲のヒントに成ってるんじゃないかと思う。
さらに、彼女たちのキャラクターが手伝ってヒットに至る訳だ。
但し、この両曲はAKBやおニャン子が歌わなければ、ヒットしなかったと思う。
それほど演者のキャラクターはヒット曲にとって重要なファクターってことだ。
 
まとめてみよう。
 
1)メジャーキーによる明るい表現
2)同じ音符の羅列による歌いやすさ
3)ワンフレーズで完結できる分かりやすい歌詞
4)同じ女性の共感を得る女性心理の表現
5)お色気による男性ファンの獲得
 
多分、この5要素はヒットを生み出すために不可欠な要素なんじゃないか?と思う。
もちろんコレ以外にも多くの要素があるのだろうが、それらは時代と共に臨機応変に変化する中で刻々と変わっていくと思うが、ココに上げた5要素は、30年の時を越えて存在する普遍の要素じゃないかと推測する。
 
で、問題はこれら両曲が「良い曲」かどうか?って部分だ。
正直「良い曲」の定義が正しくできない。というかする自信がない。
これは、聞く側の感性の問題であり、千差万別であると考えるからだ。
例えば、良いと言われている曲を挙げたところで、多数派の感性が本質的に良いかどうかは別な話だからだ。
なので(本質的な)曲の良さって言うものはココでは定義できない。
 
なので、曖昧なのを承知で抽象表現するしかなくなる。
例えば「聞いてて気持ちが良い曲」とか言った表現に成るわけだ。
でもコレでは議論できない。
 
しかし上記理由で「シロウトでも歌いやすい歌であり、シロウトでも覚えやすい曲」であることは理解できると思う。
ただコレを「良い曲」の定義としてしまって良いのだろうか?と言う疑問は残る。
少なくとも「お色気」は曲とは関係ないだろう。w
 
個人的には「良い曲」の定義の一部では有ると思うが、全部ではないと思う。
他の要素をある程度アカデミックに捉えられるようになるまでお預けかなぁ??

■プロフィール
2005年:HMバンド「MARVERICK」にてCDデビューし、香港・ドイツ等の海外興行を成功させる。その後、地元札幌にて来札するの国内外の著名アーティストのOAやサポート・共演をこなし、ジャンルやスタイルに拘らない自由な活動を行う。 
2006年:女性ボーカルのPOPバンド「鈴音」の活動を通して、SHINJIと知り合う。 
2008年:ベースのSHINJIと共に「Phantom of sorrow」を結成。